子どもの自分らしさを育てる親子コミュニケーション~Yes, Andの実践法

子どもの自分らしさを引き出す!

現代は、多様な価値観が尊重される時代です。
お子さんが自分らしく前向きに生きていくためには、子ども自身の考えや言葉を大切に受け止めることが欠かせません

子どもが「自分の気持ちを肯定的に受け取ってもらえた」という経験を重ねることで、少しずつ「自分らしさ」は育っていきます。

 

お子さんの自分らしさを伸ばすためには、親が一方的に「〜すべき」と押し付けるのではなく、
「どうしたいのか」を問い、
「どうすれば実現できるか」を一緒に考えていく姿勢が大切です。

その積み重ねが、子どもが自分の力を発揮し、自信を育んでいく土台になります。

 

これからの時代の子育ては、「親が子どもにしてあげるもの」ではなく、
親子で共に創り上げていくものとして捉えることが求められているのかもしれません。

 

親子でアイディアを出し合い、協力しながら、自分たちにしか歩めない人生を創っていく
そんな関係が築けたら、とても素敵ですね。

 

前回の記事では、親子の間に心理的安全な関係を築くために大切なポイントとして、「子どもの気持ちを受け止め、『同じ絵を見る』こと」についてお話しました。

安心・安全な関係があるからこそ、子どもはアイディアを出し、主体的に行動できるようになります。そしてそれが、親子で共に創る豊かな生活へとつながっていきます。

»子どもと心を通わせるコミュニケーション術~心理的安全性を高める関わり

 

今回の記事では、子どもの「やりたい」を実現するために、親子で協力して話し合う具体的な方法をご紹介します。

 

親子関係をより豊かにするコミュニケーションとして、「Yes, And」というアプローチを取り上げます。

日常のやり取りに取り入れることで、親子の信頼関係が深まり、子どもの自己肯定感や創造力を育む助けになるはずです。

 

Yes, Andとは?

即興演劇(インプロ)から生まれた基本原則のひとつに「Yes, And」があります。
これは、創造的なコミュニケーションやアイデアの発展を促すマインドセットです。

この原則は、次の2つの要素から成り立っています。

Yes(受け入れる)

相手の提案や発言に対して、「No」や「But」で否定するのではなく、まず「Yes」と受け入れます。

 

これによりコミュニケーションの流れがスムーズになり、信頼関係が築かれやすくなります。

相手の意見を尊重する姿勢そのものが、対話を前向きなものにしてくれます。

 

And(発展させる)

ただ受け入れるだけでなく、そこに自分の意見やアイディアを加え、対話をさらに発展させます。

この「And」があることで、新しい視点やアイディアが生まれ、会話はより創造的で建設的なものになります。

 

「Yes, And」を日本語にすると、
「いいね、それなら…」という感覚に近いでしょう。

まず受け止め、そこから一緒に考える。
その姿勢が、安心感と信頼感を生み、アイディアを大きく育てていきます。

 

一方で、日常では

Yes, But(いいね、でもさ…)

No, Because(ダメだよ、だって…)

といった会話も多く見られます。

 

こうした表現は無意識のうちに対話の流れを止め、創造的なコミュニケーションを難しくしてしまうことがあります。

 

「Yes, And」のマインドセットを取り入れることで、より前向きで建設的な対話が生まれていきます。

 

教員時代のエピソード

私が小学校教員だった頃、子どもたちにYes, Andを紹介したときの出来事です。

小学3年生の子どもたちが、校内文化祭に向けてクラスのお店を話し合っていました。

「クイズ屋さんをしたい」派と
「ボーリング屋さんをしたい」派に分かれ、話し合いは次第に対立していきました。

「No」のコミュニケーション

互いの案のデメリットばかりを指摘し合い、黒板には否定的な意見が並びました。
結果として、どちらの案も魅力を失い、決定できなくなってしまいました。

否定が続くと、アイディアそのものが消えてしまうことがあります。

「Yes」のコミュニケーション

そこで「お互いのいいところを探してみよう」と提案しました。

すると、それぞれの案の魅力が見えてきて、どちらも素敵に感じられるようになりました。しかし今度は、魅力的すぎて1つに決められなくなったのです。

 

「Yes, And」のコミュニケーション

そこで私はこう声をかけました。

「2つとも魅力的なら、よさを合わせて新しいお店を作れないかな?」

子どもたちが考え、選んだのは――

「クイズボーリング屋さん」でした。

・ボールを投げる前にクイズが出題される

・ピンには選択肢が書かれている

・正解のピンを倒せたら正解

このユニークなお店は大好評となりました。

互いの意見を活かし合うことで、アイディアは競争ではなく共創へと変わったのです。

 

Yes, Andコミュニケーションのポイント

まずは「Yes」から

相手のアイディアに自分の意見を加えるのは、最初は難しく感じるかもしれません。

まずは「受け止める」ことを意識してみましょう。
受け入れてもらえたと感じるだけで、子どもは安心して考え続けられるようになります。

否定が続くと、「話しても意味がない」と感じてしまうこともあります。

 

相手のアイディアに乗る

子どもの「やりたい」を支えるときは、子どもの発想をベースに一緒に考えることが大切です。

親が先回りして答えを出してしまうと、課題解決力を育てる機会を失ってしまいます。

大きな失敗を防ぐ助言は必要ですが、小さな失敗は学びのチャンス
まずは子どものアイディアに乗ってみましょう。

 

そのためには、一度自分の価値観を脇に置くことも大切です。

「~した方がいい」「私なら…」という気持ちは一旦脇に置いて、子どものアイデアに乗ってみましょう。

子どもの柔軟な発想から、大人も今まで考えたこともなかったアイデアに着想するかもしれません。

 

意見よりも、相手を尊重する

「Yes」は、すべてを受け入れることではありません。

意見ではなく、
挑戦しようとしている姿勢そのものを尊重するという意味です。

 

危険が心配な場合は、

「私は〇〇だと怪我しそうな気がするけど、どう思う?」

とIメッセージで伝えてみましょう。

 

決定を本人に委ねながら、新たな視点に気づかせることができます。

ただし、本当に危険な場合は、親として「No」を伝えることも大切です。

子どもを守る最終防衛線としての役割を忘れないようにしましょう。

 

 

日常のコミュニケーションの中にYes, Andを

Yes, Andを実践することで、親子関係はより豊かになり、子どもが自ら挑戦し成長していく姿を見ることができるでしょう。

最初から完璧にできなくても大丈夫です。
まずは小さな一歩から始めてみてください。

互いの意見を尊重し合う関係の中で、驚くほどポジティブな変化が生まれます。

失敗を恐れず、ときには子どもと一緒に新しいことへ挑戦しながら、かけがえのない時間を積み重ねていきましょう。

 

子どもは、あなたの支えと信頼の中で、自分の可能性を広げていきます。
あなたの姿勢そのものが、子どもの未来を照らす力になります。

 

焦らず、自分たちのペースで歩んでいきましょう。

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