「子どもの可能性を引き出すには? 子どもの成長を支える心理的安全性」
子どもの成長を支える心理的安全性
「子どもが自分らしく伸び伸びと成長できる環境を作るには、どうしたらいいのだろう?」と悩んでいませんか?
たとえば、新しいことに挑戦する時、失敗を恐れて二の足を踏むことはないでしょうか。
この記事では、そんなお子さんの心を安心させ、本来の力を引き出すために大切な「心理的安全性」についてお話しします。
心理的安全性って何?
「心理的安全性」とは、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で、1999年の論文『Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams』で広く知られるようになりました。簡単に言うと、否定される心配がない環境で、安心してリスクを取れる状態を指します。この考え方は企業のチームパフォーマンス向上で注目されていますが、実は子育てや教育の現場でも非常に大切なんです。
心理的安全性が子どもの成長にどう影響するのか、気になりますよね。
たとえば、アメリカの心理学者キャロル・ドゥエックの「マインドセット理論」では、失敗を恐れる固定的マインドセットではなく、学びや成長を大切にする成長マインドセットを育むことが重要だとされています。心理的安全性が確保された環境では、子どもは「失敗しても大丈夫」と安心し、新しい挑戦にも前向きに取り組めるようになります。
また、スタンフォード大学のジェームズ・グロス教授の研究によると、心理的安全性が高い環境にいる子どもは、感情のコントロールが上手になることが示されています。感情の自己調整能力は、子どもがストレスに対処し、困難な状況でも冷静に対処できる力を育てます。こうした力が備わることで、子どもはより健康的に成長し、学習の成果も向上するのです。
親と子のコミュニケーションが鍵
特に重要なのは、親と子どもとの間のコミュニケーションです。まずは、子どもの気持ちをしっかり受け止めることが必要です。親として「こうあるべき」「こうしなければ」という考えを一旦脇に置いて、子どもの思いをそのまま受け入れることで、子どもは「自分を理解してもらえた」と感じ、安心感を持つことができます。
私が小学校の教員をしていた頃のことです。授業中にしばしば教室を飛び出してしまう子どもがいました。最初は、授業に参加する理由や勉強の大切さを何度も伝えましたが、まったく効果がありませんでした。そこで私は、伝えることを一旦やめ、その子の話をじっくり聞くことにしました。最初は不平不満ばかりでしたが、話を聞いているうちに、その子自身も努力していたことに気づきました。「うまくやりたい」という気持ちで一生懸命やっていたのに、結果が出ず、周囲からの注意で心が折れてしまっていたのです。
その「本当は頑張りたい」という気持ちを受け止め、共感すると、その子の表情が和らぎました。それからは、その子に合った授業参加の方法を一緒に考え、小さな成功体験を積み重ねることで自信を取り戻し、最終的には自ら授業に参加できるようになりました。
小さな成功体験を積み重ねる
心理的安全性を高めるためには、まず子どもの話をよく聞き、彼らの気持ちを受け止めることが大切です。話を聞いた後は、「〇〇なんだね」と大人の言葉でその子の気持を再表現し、共感してあげることで、子どもは安心感を得ます。その後は、子どもと一緒に、彼らの思いを叶える方法を考えましょう。たとえそのアイディアが完璧でなくても、尊重することが重要です。実際に行動するときも子ども一人でできることは、励ましながら温かく見守りましょう。一人では困難なときには、子どもに思いを聞いたうえで、必要なら手を貸しましょう。失敗したとしても、また一緒に考えれば良いのです。このサイクルを繰り返すことで、子どもは自分のやりたいことを実現する経験を積み重ねることができます。
親子で共に歩む成長の旅
子どもはみんな「もっと良くなりたい」という気持ちを持っています。でも、親の「こうあるべき」「こうしなければ」という考えが先に立つと、その気持ちに蓋をしてしまいます。親子の間に心理的安全性を育むことで、子どもは安心して新しいことに挑戦し、成長の旅を進めます。子どもの内なる力を信じて、共にその旅を歩むことで、親子だけの特別な景色に出会えるはずです。
このように、心理的安全性を大切にすることで、子どもは自信を持って成長していけます。親として、共にその成長を見守り、サポートしていきましょう。