記憶効率を高めるアクティブリコール学習法

記憶効率を高めるアクティブリコール学習法

「何度練習しても覚えられない…」

「覚えるための勉強って退屈で、嫌になる…」

 

勉強において「記憶」や「暗記」は切り離せない要素です。応用力や活用力が重視される現代でも、その応用の土台となる知識をまず記憶しておかなければ始まりません。

たとえば、学校での勉強では「漢字や英単語を覚える」「社会や理科の用語を覚える」など、基本的な知識を身につけることが、多くの学びの出発点になります。しかし、この「覚える」という作業は、繰り返し読んだり書いたりと単調になりがちで、集中が続かなかったり、労力に見合った成果が出にくいことも。すると、勉強が「退屈でつまらないもの」に感じられ、学習意欲が減退してしまいます。

記憶や暗記の学習に工夫を凝らすことで、基礎的な知識の定着を助け、さらに学習意欲を高めることが可能です。今回は、効率よく学習内容を定着させる「アクティブリコール学習法」についてご紹介します。この学習法は、子どもから大人まで幅広く使えるので、ぜひ参考にしてみてください。

脳の記憶力を高めるメカニズム

効率の良い学習を実現するには、勉強時における脳の記憶メカニズムを理解しておくことが重要です。

インプットとは視覚や聴覚を通じて情報を脳に取り込むこと、具体的には「聞く」「読む」などの行為が該当します。一方で、アウトプットは脳に取り込んだ情報を引き出して使うことで、「話す」「書く」といった行為に当たります。

人は日常生活の中で多くの情報を見たり聞いたりして脳に取り込みますが、そのすべてを記憶するわけではなく、脳が「今後も使う必要がある」と判断した情報だけが記憶に残ります。

では、脳が「これは必要な情報だ」と判断するにはどうすればいいでしょうか?それには、「情報に繰り返し出会う」ことと「情報を実際に使う」という2つのステップが必要です。

情報に繰り返し出会う

例えば、通勤で歩く道で、見知らぬ人とすれ違った場合、1回きりの出会いであれば、その人の顔を覚えることはないでしょう。しかし、たとえ見知らぬ人であっても、毎日同じ時間に同じ場所ですれ違っていればどうでしょうか?「また会ったな」という経験が積み重なり、その人の顔を覚えるようになり、さらに「今日は表情が浮かないな」とその人を気に掛けるようになることもあるでしょう。

学習においても、情報に繰り返し出会うことは非常に重要で、これはインプットにあたります。繰り返し情報に触れることで、脳は「これは必要な情報なんだな」と判断し、記憶定着につながるのです。

情報を使う

人が勉強をする際、教科書を見て読んだり、講義を聞いたりするなどのインプットに頼りがちですが、インプットだけでは十分ではありません。インプットした情報を実際にアウトプット(書く・話す)して使うことで、脳に「この情報は必要なものだ」と認識させることが大切です。

インプットされた情報を繰り返し使うことにより、脳は「これは使う必要のある情報なんだな」と判断し、いつでも取り出しやすいように記憶を整理します。

このように、脳が記憶を定着させるプロセスには「情報と繰り返し出会う」ことと「情報を使う」経験が必要になります。

この2つのステップを踏まえた学習法がアクティブリコール学習法です。

 

いよいよ次からは、アクティブリコール法の具体的な学習方法をご紹介します。

効率的に記憶力を高めるアクティブリコール

アクティブリコールとは「自ら思い出す」ことを繰り返す学習法です。この方法でインプットとアウトプットをバランスよく行うと、脳に刺激を与え、記憶の定着が効率よく進みます。必要な道具は以下のとおりです。

  • 筆記用具
  • ノート(A4サイズがおすすめ)
  • 教材
  • タイマー(スマホ機能でOK)

では、具体的なステップを説明していきます。

1.覚えたい学習内容のテーマと見出しを書き出す

教科書や参考書から覚えたい内容が載っているページを開き、机の上に紙を広げます。教材の内容をざっと目を通し、ページに記載されているテーマや見出しを書き出していきます。この作業をすることで、後のアウトプット作業で「何をどこに書き出すか」を分かりやすくします。見出しはある程度間隔を空けて書き出し、教科書や参考書に記載されている内容をそのまま使っても問題ありません。

(例)社会(地理)を勉強する場合

テーマ「世界の姿」

・地球の姿

・いろいろな国境

・面積や人口から見た国々

・いろいろな国々

2.教材を読む

タイマーをセットします。時間はページの分量によりますが、2〜3分程度で集中できる時間が目安です。タイマーを開始したら、その間は集中して教材を読み、内容をインプットします。初めは時間が足りなく感じるかもしれませんが、同じ作業を後で繰り返すので、全範囲を無理に読み切る必要はありません。

3.教材を閉じ、覚えた内容を書き出す

タイマーが鳴ったら、教材を一度閉じます。用意した紙に、思い出せる限りの情報を書き出します。書き方は、箇条書きや、キーワードを線でつなぐマインドマップなどが良いでしょう。アウトプットが目的なので、字は丁寧でなくても構いません。重要な部分だけ書き出しましょう。

4.ステップ2と3を繰り返す

書き出せることを思い出したら、再びステップ2に戻り、まだ読めていない範囲や書き出せなかった内容を重点的に読みます。タイマーが鳴ったら教材を閉じ、余白に書き出していきます。この方法を数回繰り返し、すべての内容を書き出せれば終了です。覚えきれない内容があれば、次の日など少し時間をおいて再度取り組むことで、記憶力が高まります。

また、書き出しの際に理解が不十分な用語があれば、インターネット等で調べて理解を深めることも大切です。

5.問題で知識定着を確認する

もし教材に対応する問題集が手元にあれば、それに取り組んで理解を確認しましょう。アクティブリコール学習の前後にテストを行い、比較すると勉強の成果を測ることもできます。

このように、アクティブリコール学習は、インプットした知識を自ら思い出そうと脳に負荷を掛けることで、記憶を強固に定着させる学習法です。

 

ここからは、より意欲的にアクティブリコール学習に取り組んでいただけるよう、この学習法のメリットをご紹介します。

1.集中して勉強できる

2〜3分の短い時間で区切って進めるため、飽きることなく集中が続きます。同じ作業を繰り返すこの勉強法では、「足りない部分を補いたい」という意欲が刺激され、学習内容に自然と意識が向くようになります。

2.脳をしっかり刺激できる

教材を読んで紙に書き出すという作業は、単なる「読み写し」とは異なり、脳に適度な負荷をかけることができます。書き写すだけの勉強は、手を動かすだけで完了できるため、脳があまり働かず、作業量に比べて成果が得られにくい傾向があります。

一方、アクティブリコール学習は教材を閉じ、自分の記憶を引き出して書き出すことで脳にしっかりと刺激を与えられます。初めて取り組んだときには短時間でも疲労を感じるかもしれませんが、これは脳がしっかり働き、適切な刺激を受けている証拠です。脳が活発に働くことで、知識はより定着しやすくなります。

アクティブリコールを使った具体的な学習内容

アクティブリコール学習法は、暗記が必要な場面や、基本用語の整理が求められる場面で特に効果を発揮します。

  • 英単語の暗記
  • 社会・理科の基礎用語の理解
  • 漢字や熟語・慣用句の暗記

短時間で確認し書き出す勉強法なので、特に漢字の学習では、細かなミスに注意が必要です。

このように基礎的な知識をアクティブリコールで身につけることで、応用問題を解いたり、知識を活かした学習へと進むための土台を築くことができます。

記憶定着で学びを深める第一歩を

学習において「記憶すること」は、基礎的な知識を習得し、応用力を伸ばすための重要なステップです。アクティブリコール学習法は、単調で退屈に感じられがちな暗記作業を効率的かつ効果的に進めるための方法として紹介しました。

この学習法の核心は、脳が情報を「必要なもの」と認識できるように繰り返し「使う」経験を積むことです。インプットとアウトプットを交互に行うことで、記憶が強固に定着しやすくなるだけでなく、短時間で集中を維持し、学習内容への意識が高まります。また、脳に負荷をかけるプロセスによって、ただ書き写すのでは得られない達成感や学習意欲も生まれます。

アクティブリコール学習法を日々の勉強に取り入れることで、単なる暗記を超え、知識が実践的に役立つ「生きた学び」へとつなげる基盤が築かれます。ぜひこの方法を活用し、持続的な学びの成長と、充実した学習体験を実感してみてください。

磐田市中泉にあるパーソナル学習教室プルートでは、様々な効果的な学習方法を紹介しながら、自分で学習方法を選択し、自分に合った学び方を探っていきます。

自分らしい学び方を身につけることで、様々な課題を解決していく力や意欲を育むことができます。

 

教室や学習の様子を見学することも可能ですので、ご興味があればいつでもご連絡くださいね。