デザインアプリが教えてくれた、学びの本質
ICTアプリによる、学びの本質
子どもたちが帰ってくるランドセルの中には、皆タブレットが入っています。
子どもたちのタブレット使用の様子を見ていて、学習へのICT導入については、今もなお考え方に大きな温度差があると感じています。
(単なる重たい連絡帳になっているだけの子も…)
保護者の方や教育現場の中でも、「便利そうだけれど不安」「本当に必要なのだろうか」と迷われている方は少なくありません。
私自身、教員時代にはICT主任として機器活用を先行して行い、先生方への研修にも関わってきました。その経験から、ICT導入に慎重な立場の方が抱きやすい不安は、大きく次のようなものだと感じています。
・使っているとトラブルが起きやすく、対応できない
(ちなみに私は、ICTは「いつも、ちょっと、トラブル」の略だと思っています 笑)
・AIなどに頼ることで、子どもが自分で考えなくなるのではないか
(これは一理ありますが、使い方次第です)
・新しいアプリや機能が次々と出てきて、理解が追いつかない
こうした不安は、とても自然なものだと思います。
一方で、アメリカのある調査では、富裕層とそれ以外の層とでAIの使い方に差があることが示されています。
それは「富裕層は自分の事業や学びを伸ばすためにAIを使い、それ以外の層は娯楽目的で使うことが多い」という違いです。
学校の学習でいくらICTを敬遠しても、私たちの日常生活はすでにICTと切っては切れない関係にあります。
SNSのトラブルなど、確かに注意すべき点はありますが、だからこそ子どもたちが教育環境に身を置いている今の時期に、正しい使い方や付き合い方を学び、リテラシーを身につけていくことが子どもたちの未来を支えることにつながると考えています。
プルートでのICTの考え方
プルートでは、子どもたちがPCを自由に使える環境を整えています。

先生が最初に教えるのは、電源の入れ方とキーボード・マウスの基本操作くらいです。
あとは「習うより慣れろ」の方針で、どんどん使わせていきます。
学校や家庭ですでにPCやタブレットに触れる機会がある子どもたちにとって、この方法でも十分に自分で進めていくことができます。
活動の中で困ったことが出てきた場合は、その場で個別にレクチャーします。
すると、次に同じことで困っている子が現れたとき、先生は一人ではなくなります。
「できるようになった子」が、自然ともう一人の先生になるからです。


自分でできるようになったことを言葉にして伝えることで理解は深まり、子ども同士のつながりも強くなっていきます。
すべてを先生が教える必要はありません。
Canvaを使う理由
プルートでは、デザインアプリ「Canva」をよく使用しています。
Canvaはアップデートが非常に多く、操作画面の変更や新機能の追加も頻繁です。
そのため、「先生が知っている範囲のことだけを、決められた通りにやる」という環境では、学びがすぐに止まってしまいます。
プルートでは、先生の指示通りに手を動かす必要も、みんなと足並みをそろえて待つ必要もありません。つまずくまでどんどん進んでみればいいのです。
実際に使っていると、いつの間にか先生も知らない機能を、子どもが使いこなしている場面に出会います。
教室の中に“小さな先生”が増えていくことで、アプリの進化にも負けない、活気ある学びの空間が生まれていきます。
「表現する力」を育てるICT
国語の学習では、新聞やポスターを作る活動があります。
本来は「どんな言葉で読者を引きつけるか」「どんな構成で伝えるか」を考えることに、大きな学びがあります。
しかし、紙での制作では、自由度の高いキャンバスを前にして、つい飾りやイラストに意識が向きすぎてしまい、
結果として「見た目は派手だけれど、伝えたい内容が薄い作品」が並んでしまうことも少なくありません。
これがPCでの作成になると、状況は大きく変わります。
デザインの選択肢はアプリが示してくれる
子どもは好みのレイアウトを選ぶだけで、一定水準の見た目が整う
すると、デザインで満たされた分、
「何を伝えたいのか」「どう伝えるのか」という本質的な部分に思考が向かいます。
伝え方には正解がありません。
書いては消し、試しては直す試行錯誤が生まれます。
PCなら、消しゴムの跡は残らず、案をコピーして複数を比較することも簡単です。
ICTを道具として味方につけることで、
本来力を注ぐべきところに集中し、それ以外はICTに任せる。
これがICT活用の大きなメリットです。
自信が、次の学びを生む
子どもたちは、ハロウィンパーティやクリスマスパーティの招待状をPCで作りました。
最初はおしゃれなデザインやイラストに目が向き、文字が読みにくい作品も多く見られました。
しかし活動を続ける中で、
・絵が目立ちすぎると文字が読めない
・文字数が多いと字が小さくなる
といったことに自分で気づき、
言葉を削ったり、色使いを見直したりするようになります。


ICTは便利すぎるゆえに、子どもが技術に先導されてしまい、本来の目的を見失ったり、考えることを止めてしまうことはよくありません。
便利であることを受け止めつつ、ICTを使う目的を問うことで、主導権をもってICTを使いこなす姿勢が必要になります。
ICTをうまく使いこなすことで、見た目も内容も充実した作品が完成し、子どもたちは大きな満足感を得ます。
その自信が、「またやりたい」「もっと表現したい」という意欲につながり、気がつくと自分からPCを開いています。

↑クイズを作ろうとローマ字表を見ながら一生懸命入力する1年生(^^)
ICTを使いながら、試し、考え、工夫する子どもたち。
これからも、さまざまなことに挑戦していってほしいと思います。




